不定期連続ドラマ・藤原憂

《これまでのあらすじ》
憂は某ブラック企業に勤める24歳。
毎日一時間以上も電車に揺られての出勤に嫌気がさしていた。
ある時新店が家の近くに展開することを聞く。異動願を出し、副店長として異動することになったのだが―――…

「藤原さん、新店のことなんだけど………」
「なん…だと……」
憂に戦慄が走った…


IDOU 第9,8話
～明日へ向かって～

「なん…だと……」
憂はレジに直そうとしていた小銭を強く握りしめて聞き返した。

「いや、だからね、藤原さんO店に副店長として異動するじゃないですか」
「はい」
「んでね、O店の店長まだ決まってないらしくって」
「…は？」
「つまり、藤原さんと新人二人の三人体制らしくって、藤原さんが新人育成と当分の店長業務しなきゃいけないみたいv頑張って！」
「ぁんだって？」
「店長会議一緒に行こうネヾ（≧▽≦*）〃」

なん…だと…

最初の異動の話が持ち上がった時に地域をまとめるマネージャーが憂に「店長として異動する？」ときいてきた。
だが憂は「荷が重い」と一蹴し、副店長として異動という形になった。

「ないわー」
憂は店頭に立っているのもお構いなく呟く。
そもそも“店長業務が嫌”で荷が重いと拒否したにも関わらず肩書は副店長、することは店長業務であることに納得がいかない。
まぁ店長であろうと副店長であろうと肩書以外に変わる所はなく、責任が増えるにも関わらずお給料すらびた一文上がらないのだ。

「マジキチ、マジキチ、テラブラ」
「何、何の呪文？」
「本当にきち○い、本当に鬼畜、とってもブラック、テラカオス」
「藤原さん、日本語しゃべってよ…」

全く冗談じゃない。
ようわからん『店長』がポッと出で来るのならO店を『藤原憂帝国』にした方が楽ではないか…？
真剣にそう考えるが、店長になりたいとはなかなか言えない雰囲気でもある。

O店開店まであと半月。
憂に一つの悩みが生まれた――…。


つづく …かもしれない